2010年4月8日木曜日
見込客を作るとは考える人を作ること。
忘れない、忘れさせないは、お客さまに対しても、社内に対しても、ビジネスの基本。人間は考えないことはできない生き物だからです。
4月3日にアメリカで販売開始されたアップル社の新製品「iPad」を買い求める光景には熱いものがありました。前夜から並んでいる人たち、手に入れた喜びを全身で表現している人、日本からもニューヨークへ弾丸で買いに行った人も多数いたようです。
アップルが販売決定を発表したのは2ヶ月前、数週間後にはネット上で予約受付を開始しましたので、前夜から並ぶ必要はないはずですが、「早く欲しい!」気持ちを愉しんでいたようです。
「iPad」はタブレット型のパソコン、見た目は、同社のヒット商品「iPhone」をA4サイズに大きくした商品ですが、”アップル”のブランド力が発表と同時に決定的に「タブレット型パソコン」とも「iPhone」とも違うことを伝えていました。さまざまな憶測が世界中に広がりました。もともとアップル社はあまり情報を流さない会社ですので、想像力をかきたてます。顧客はわずかな情報を熱心に探しまわります。
販売前日、店舗では準備開始とともに、店内は黒いカーテンで覆われ待ちわびる顧客の興奮は高まる一方、その光景はTwitter、ブログ、YouTubeを通じてリアルタイムで世界に配信されました。顧客自身が発信する情報には「口コミ」のプロセスのすべてが発見できます。商品の憶測から、手に入れた商品のパッケージの開封〜同梱品の紹介、さらには買った商品を即座に解体してパーツのひとつひとつの紹介、まるで広報担当は顧客の役割のようです。情報を受信する「見込客」の想像もどんどんふくらみ、興奮は高まります。
さて、iPadの興奮には「売る」ということ、「買う」ということの究極の答えがあります。
なぜ、開店前から並ぶのか、「早く欲しい!」からです。
「欲しい」は「買いたい」の前提条件です。欲しい物が売られていないとプレミア価格になります。だからキン肉マンの消しゴムは一個が数万円しています。 キン肉マンの消しゴムは決して必要な物ではありませんが、「欲しい」と共に「必要」も「買いたい」の前提条件です。
ところで、必要は英語でNEEDといいます。欲しいはWANTです。日本語でも英語でも別の言葉です。つまり意味が違うということです。どれだけ売れるかは、必要とする人の数、欲しい人の数で変わって来ます。そこでメーカーは、必要とするもの、欲しがるものを作ろうとします。小売業はすでにあるものを仕入れて売りますが、どう扱うか小売のセンスとスキルがモノを言います。
必要なのだ、欲しいのだ、と言っている人をよく観察してみると、いろいろあることが分かります。
・必要だけど、欲しくない
・欲しいけれど必要でない
・必要でもないし、欲しくもない
・必要だし、欲しい
必要にして、欲しいものを買った人は手に入れたこと満足します。
一方、必要でも欲しくもないものを買った人は仕方なしに買ったので、損した気分になることがあります。ムダ遣いをする人とは、必要でもないし欲しくもないものを買う人、欲しいけれど必要でないものを買う人のことです。
こんな会話をよく耳にします。
「この前、こんなことがあって仕方なしに買ったんだ、損してしまったよ」
「そうは言っても仕方ないよ。必要なんだから」
「そうだよな」
必要だけど、欲しくない商品の代表が「保険」「葬式」「ガソリン」「電気」「修理全般」「車検などルールで決められたもの」です。 必要だけど、欲しくない商品を取り扱っている方は「エーッ!それでは売れなくても仕方がないだろう」と思うのは当然です。でも慌てないでください。よく考えて見ましょう。
固定電話は昭和初期には欲しい商品だったはずです。高値の花でした。洗濯機、冷蔵庫、クーラーも欲しい商品でした。手に入れるために一生懸命に働いたのは東京オリンピックの頃です。ところがいまでは「必要な商品」に変わりました。電話は固定を携帯に変えることで、必要な商品から欲しい商品に大ブレイクしました。iPod、iPhone,iPadも、欲しいから必要に一旦変わったものを、もう一度欲しいものに変えたことで大ブレイクさせたものばかりです。
つまり、同じものを売っている小売業で、業績が違うのは、欲しくさせる力が違うわけです。そこで、どうしたらいいのかを考えるために、現実を整理してみましょう。必要と欲求の関係は次の4つがあります。
・必要だけど、欲しくない
・欲しいけれど必要でない
・必要でもないし、欲しくもない
・必要だし、欲しい
「必要」と「欲しい」の関係を2×2のマトリクスを使って整理すると、次のようになります。
同じものを売っている小売業で、業績が違うのは、左下のお客さまを右上にステップアップさせる力が違うのです。
では、どうしたらできるのでしょうか? 「安くする?」・・・・それも条件として有効になるかも知れませんが、そうでないかも知れません。価格を考えるよりも先に、もっと考えないといけない「重要なこと」があります。
次のうち、人が考えることの多い順番はどうでしょう?並べ替えて見てください。
・必要だけど、欲しくない
・欲しいけれど必要でない
・必要でもないし、欲しくもない
・必要だし、欲しい
人は考えないことはできません。欲しいということは考えるということです。欲しくないとは考えていないということです。つまり見込客を作るとは、考える人を作るということです。
欲しくないとは考えない。つまり考えるから欲しくなるのです。欲しくない人は考えないので情報が不足しています。欲しくなってもらうには情報量が必要なのです。量が不足するなら力のある情報が必要なのです。
iPadは情報量が多くはありませんが、情報力があるので、不足する情報量を顧客が自主的に集めて回っています。iPadを入手するために並んだ人たちは、販売するという最初の情報に接した日から毎日、毎日、考え続けていたのです。
ここから学ぶことには、とても大きなことがあります。
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