大阪にあるUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)には本国ハリウッドのそれと違い実際に撮影に使ったセットがありません。最初からハンディを背負ってオープン。その上、オープン間もなく起こった火薬の扱い量に対する消防からのクレーム。日本と米国の違いが華やかさにケチをつけました。
なんとなくイメージの低下は楽しさに水をさしました。ハリポタで湧くUSJの道のりは決して平坦ではありませんでした。
USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)のV字回復を考える前に東京ディズニーリゾート(オリエンタルランド)を考えてみましょう。
もし家族や大事な人とディズニーで楽しい時間を過ごしたいと思うなら、ちょっとしたプロジェクトになります。限られた時間、費用で、イメージする時間を過ごすことは大変困難だからです。
園内はアトラクションもレストランも行列なので、準備なしに行くと「待ち時間」に多くの時間を奪われ後悔することになります。最終的に人気のないアトラクションで過ごし、露天で売っているような食べ物しか口にできなかったというちょっと情けない思いのまま帰るハメになるからです。
そこでお父さんや彼氏は、頑張ろうとして、考え行動します。家族や彼女はその姿にうれしくなるので、リピーターが増えるのかも知れません。
東京ディズニーリゾートの方式は、入園料を支払いパスポートを手にすると個々のアトラクションは無料です。 元々は、パスポートに2種類あり、安いパスポートの場合は個々のアトラクションは有料、高いパスポートの場合は個々のアトラクションは無料という2者選択でした。
これが現在のアトラクションは無料のパスポート一本に変わった理由は、全体の稼働率を上げることが目的だと想像できます。園内の全設備、全従業員がフル稼働することで入園者をマックスまで引き上げることができるからです。稼働率をフル状態にすれば増収増益につながるからです。
しかしフル稼働すれば、顧客は人気のアトラクションを利用することが困難になります。
先にご紹介したスポーツジムの場合と同じで行ってもマシンが使えない状態と同じです。
曜日、時間帯ごとに顧客構成を理想的な状態にすることが課題になります。
土日しか利用できない人には土日を利用してもらい、平日の昼に来れる人にはそうしてもらい、夜しかこれない人には夜にきてもらう。
そのためにあの手この手を駆使しますが、コントロールの中心は価格設定、つまり顧客のグループ分けです。これを価格でもってコントロールするのが価格戦略です。(価格以外でコントロールする方法もあります。)
限られた資源を最適な状態で活用した結果が<客単価×客数>の最大値になります。
それには顧客ニーズとのマッチングが必要です。ニーズごとに分類したものが顧客グループであり、顧客を分類する際に見極める手段が価格設定なのです。
ニーズごとの顧客分類とは
- お金も時間もある人
- お金があるが、時間のない人
- お金はないが、時間のある人
- お金も時間もない人
つまり安くしたら売れて儲かったというのは、仕組みのごく一部分でしかなく遺失利益が隠れていることを意味しています。言い換えると仕組みを機能させていたら本当はもっと儲けることができたはずだということです。
ですから利益が少ない、儲からないというなら、仕組み全体に目をむけて、遺失利益の発見に目を向けることが大切になります。同時に仕組みが機能していない危険は、さらに収益を圧迫する可能性があることを示唆しています。
売上も利益も<客単価×客数>の結果でしかありませんから、新規顧客で<客数>を増やすこと。同時に<客単価>をアップするために顧客構成を変えることが課題になります。
この2点を制することで稼働率のパフォーマンスを最高に引き上げに成功して、限りある資源の有効活用ができます。
低い客単価で限界超えまで客数を呼び込んでも、ほどほどの客数でも高い客単価の店に及ばないことはあります。
稼働率のパフォーマンスを最高に引き上げるとは、これ以上ない<客単価×客数>のベストな組み合わせを実現する意味です。
そこで日本最大のテーマパーク、東京ディズニーリゾートがどのようにして<客単価×客数>を図っているか見てみましょう。
東京ディズニーリゾートには、「県民パスポート」「首都圏ウィークデースペシャルパスポート」「平日5日間だけ使えるウィークデーパスポート」「45歳以上限定の45PLUSパスポート」「全国の60歳以上の人に限定したシニアマルチデーパスポート」といった発売期間や地域、年齢などが限定された割引パスポートが発売されています。
これらは常時ということではなく、それぞれ期間限定ですが、なんとなく地味な印象です。この割引パスポートの内容は通常のワンデーパスポートと同じで「東京ディズニーランドか東京ディズニーシーのどちらかを一日楽しめるチケット」となっています。
さて、これは、次のどのグループに向けて用意されたクーポンなのでしょう?
- お金も時間もある人
- お金があるが、時間のない人
- お金はないが、時間のある人
- お金も時間もない人
お金はともかく「時間のある人」です。 「県民」「首都圏」「平日」「アダルト層」といったくくりを見ても分かるように、地元の人を対象にしています。このグループは費用をかけずに簡単に行くことができます。
アイドルタイムに稼働率をあげてくれる最適なグループです。
スポーツジムに置き換えると平日アイドルタイム限定の顧客グループと全く同じだということが見えてきます。飛行機を空席で飛ばすくらいなら安くして満席して飛ばした方がマシだという発想です。
ここで視点を少し変えてみます。
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