2014年7月27日日曜日

USJがV字回復できた理由(2)


飛行機を空席で飛ばすくらいなら安くして満席して飛ばした方がマシだという発想はシンプルで分かりやすいものですが、埋めるためにはコスト無視だということではありません。
どうせ空席なら安くすればいいというのではなく、いくらまでなら採算がとれるのかという「採算ライン」つまり「限界費用」というルールが存在していることが分かります。そのバランスを考えて、<客数×客単価>の配分が行われています。



実際、飛行機の場合では「限界費用」を考えた上で、他社とタイアップした共同運航便を飛ばしています。共同運航便は複数の航空会社が一つの航空機にそれぞれの会社の便名を付けて運航する便のことで、乗客は待合室まで行って分かります。
東京ディズニーリゾートが地元客を対象に販促を打つことは、「お金はないが、時間はある人」を対象にするということに他なりません。
(お金の有無は絶対的という意味ではなく、あくまで相対的という意味をお忘れなく考えてください。)
東京ディズニーリゾートにとって「お金のある人」とは「地方の顧客」です。もっともお金のある人は、国内では北海道や沖縄の方々です。海外の顧客はさらにお金持ちということになります。
ディズニーから遠い地域(北海道、北東北、関西、中国、四国、九州、沖縄)は首都圏近辺の都県で販売される割引パスポートとは違って、旅行会社でパック旅行を申し込んだ方限定の販売となっている場合が中心です。
大阪などディズニーショップがある所を除くとパスポートは旅行会社での購入となります。つまり宿泊、交通費、入園料、食事代を併せた全部が遠方の顧客にとっての入園料なのです。
地元なら5000円で済むのに、沖縄なら10万円かかるというほど、不公平なのです。それだけ支払える能力のある顧客ですから、お金のある人なのです。しかし悲しいかな時間がありません。ますます不公平です。
顧客にすれば海外旅行に匹敵する費用を支払うわけですから、入園して待ってばかりでは何のために行ったのか分からないという不満が残ります。
しかし「神すぎるディズニーの責任ではなく、ファンが多いんだから仕方がない」と諦めるしかありません。残された道は自分で工夫して楽しむことです。
その心理に応えるため、東京ディズニーリゾートではファストパスを発行しています。
ファストパスとは、優先的にアトラクションを使えるチケットのことで、入場口(スタンバイ・エントランス)に並ぶことなく、専用入場口(ファストパス・エントランス)から通常より短時間で入場できる権利のことです。ファストパスの発券にお金はかかりません。料金は無料です。


ディズニー・ファストパスは【ファストパス発券所】で発券します。
この【ファストパス発券所】はファストパスに対応しているアトラクションに隣接して設置してあります。
「ディズニー・ファストパス」は全てのアトラクションが対応している訳ではなく、人気アトラクションでのみ実施されています。
例えば、「スプラッシュ・マウンテン」のファストパスが欲しい場合は、「スプラッシュ・マウンテン」のある場所へファストパスを発券しに行きます。それぞれのアトラクションのある場所が、それぞれのアトラクションのファストパスの発券所となっています。
但し、発券を受けるには待ち時間がかかります。それぞれのアトラクションの入り口の近くには、【タイムボード】というものがあります。
この【タイムボード】には「ファストパスの利用時間」と「スタンバイの待ち時間」が表示されています。「ファストパスの利用時間」とは、利用時間限定のことで、ファストパスに記載された時間帯にのみ活用ができて、「スタンバイの待ち時間」というのは普通に並んで待った場合の時間のことです。
ファストパスの発券枚数には限りがあるので、人気のあるアトラクションであればある程、早い時間帯にファストパス発券終了となってしまうので、混雑している日の人気アトラクションは開園から数時間で発券終了となってしまうこともよくあります。
このようにカップル、家族で行ったとしても、アトラクションを楽しむには二人あるいは家族が別行動で並ぶ時間が増えてしまいます。
この現象こそ利益の根源です。 

続く





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